評論|オナルド・レバンチによる記録
本作『泡沫の賛歌』は、キュビズム風の画面構成でありながらも、
祝祭と消費の狂騒を生き生きと捉えた異色作である。
幾何学的に分断された笑顔、掲げられたビールジョッキ、
舞い上がる紙幣、そして花火とイルカ——。
これらは一見無秩序な要素に見えるが、
そこには「現代の祭り」に潜む構造的矛盾が巧妙に織り込まれている。
観る者はまず、カラフルな色彩と賑わいに引き込まれるだろう。
だが、画面をよく見ると、
その笑顔たちはどこか硬質で、感情というよりも記号に近いことに気づく。
歓喜の連鎖はやがて、消費の連鎖へと姿を変えていく。
そして、画面右上のイルカは、そこに一縷の救いをもたらす存在だ。
彼らは人間の欲望を超えて、自由と遊戯の象徴として舞い続ける。
本作は、見る者に問いかける。
「あなたの笑顔は、本当に自由か」と。
──館長 オナルド・レバンチ(Rebuble美術館)
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