評論|オナルド・レバンチによる記録
本作『煌夜の讃歌』は、祝祭の光と影を描き出した異色の名作である。
画面中央、ドルフィンナイトのネオンサインの下、笑顔を交わす若者たち。
グラスを掲げ、金を手にし、シャンパンタワーを囲む彼らは、青春の一瞬を永遠化されたかのようだ。
だが、オナルドは問う。
この場面に潜む「違和感」は何か。
彼らの頭上を飛翔するイルカ、宙を舞う紙幣、ざわめく夜の海――
これは現実か、幻想か。
イルカは無邪気な生命の象徴として、紙幣とともに舞うことで、
欲望と純粋さの間の綱渡りを暗示する。
注目すべきは、表情の描写だ。
華やかでありながら、どこか陶酔の奥に影が差すような微笑。
それは、享楽の裏に潜む空虚さをささやき、
鑑賞者に「今、この瞬間の真実とは何か」と問いかける。
祝祭はいつか終わる。
だが、絵画となった祝祭は、終わらない。
本作は、そんな皮肉と美しさを併せ持つ、時代の鏡なのである。
──館長 オナルド・レバンチ(Rebuble美術館)。
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